| 《本書より》 |
| 【本書・二十一世紀に言い遺したいことより】 明治四〇年生まれの私は、はからずも明治後期から、大正・昭和・平成という、各時代の特有の風潮にもまれて九十六年になります。私の死期も秒読みになりました昨今です。二十一世紀に何かを言い遺したい。(…略…) 私はどこまでも人間を信じます。人間には人間であらしめる仏性が宿っているからです。この意味で人間を救うものは人間であるから、いかなるときも人間性を信ずることを忘れてはならない、と強く言い遺します。 |
| 《目次》 |
| ◆ 遺教経に学ぶ 第1章 釈尊入滅のとき 釈尊最後の教え/阿若喬陳如と須跋陀羅/近づく臨終のとき 第2章 戒を守り、自己のものとす 波羅提木叉とは/不殺生戒/不偸盗戒/不邪淫戒/不妄語戒/不飲酒戒/戒律の大切さ/仏弟子たるもの……/正しく生きるためには/王に説いた教え/応量器の意味/足るを知る/相とは心と身の姿/持戒の功徳/安穏な生活のために/自分を調える/中道の実践/煩悩を整理・整頓する/船上で学んだこと 第3章 心をととのえ、欲を制す 五根をととのえる/五根と五欲/戒は命令や束縛ではない/戒を超えた原坦山の行為/心をととのえる/妄念を手放しにしない/精進・折伏/師父の教え 第4章 日々を生きる戒め 食事をいただく心構え/いただく前の感謝の心/石のお布施/惰眠の戒め/アヌルッダの失明/道元と白隠の覚醒/無常の真理にしたがえ/学べば朽ちず/毒蛇を抱えて眠る/恥を知る/釈宗演の昼寝/忍耐と認可/忍土/百日の説法屁一つ/心学道話/自分を見つめ、待つこと/外交官・弘田弘毅の心境/出家の姿/托鉢行/おべっか/裏天狗 第5章 守るべき八つの徳目 八大人覚/少欲/無欲の美しさ/愚痴のこころ/知足の徳/龍安寺と正受庵のつくばい/『高瀬舟』から/遠離/精進/火を鑚る/不妄念(正念)/正念を貫く/自分を御する/坐と禅/修智慧/空を知る智慧/無明を破する智慧/不戯論/道元と八大人覚/私たちへの忠告 第6章 教えをこの身に修行せん 放逸への戒め/釈尊の枯木下での坐禅/医の咎にあらず/釈尊、三たびの質し/常坐不臥行のアヌルッダ/生苦と五陰盛苦/渇愛を制御する/八正道の正とは/膠原病を乗り超えて/師との別れ/有学・無学/老婆心 第7章 さらば弟子たちよ 会うは別れのはじめ/仏縁のない衆生はない/方便の教え/汝等しばらく止みね/死ぬときには鳥にも泣かれるような人間に ◆ 二十一世紀へ言い遺したいこと 人生は……、苦であった/苦を救うための四つの真理/なぜ私は仏道を求めるのか/どこまでも人間性を信じなさい ◆ 原文 『遺教経』(仏垂般涅槃略説教誡経) あとがき |
| 《著者紹介》 |
| 松原 泰道(まつばら・たいどう) 明治40年東京生まれ。早稲田大学文学部卒業。岐阜・端龍寺で修行。東京・龍源寺住職、臨済宗妙心寺派教学部長を歴任。平成元年第23回仏教伝道文化賞受賞。平成11年禅文化賞受賞。 現在は、日月庵主管、「南無の会」会長。90歳をこえた今もなお講話を行い、禅のこころ、仏教的生き方をやさしく説いている。 主著としては『般若心経入門』『公案夜話』『般若心経という生き方』『母を訪ねて山頭火』『道元』『生きるための杖ことば』『松原泰道全集』(全六巻)など多数。 |