| 【有馬実成◎語録】 |
![]() ──難民を救うことができるのは難民自身なのです。本来その能力を持っている難民が、たまたま難民キャンプという状況のなかで、その可能性を閉ざされているだけなのです。 ボランティアはここを勘違いしてはなりません。ボランティアは「触媒」なのです。触媒は、化学反応においてそれ自体に変化を生じることがないのです。けれども、物質を活性化させ、化学反応の速度を速めます。ボランティア活動において、自らが主人公になることは慎しみましょう。難民こそが主人公なのです。 (本書185頁より) ──〈シャンティ〉で意味する〈平和〉は、一人一人の心の覚醒と平安に根ざした平和、そして、人と人との関係のなかの平安です。地域社会や国家間の自覚と覚醒に立脚する平和なのです。そこには自らを絶対化しようとする力は働かないのです。逆に、自らを相対化しようとする力が働き、他と共に生き、生かされているという事実に喜びと感動を見出そうとするのです。 社会の平和と心の内的な平安を求めようとする努力をしている限りにおいて、人は人としての尊厳を保つことができるのです。生きていることを共感し、喜びを共に分かち合う場と仲間を持つ限りにおいて、人は希望に充ちた人生を創造できると確信しています。理想の実現が困難なのではありません。前進しようとする勇気と力が足りないだけなのです。 (本書332頁より) ──「地球市民社会」という言葉は多くの真理を語り、二一世紀未来社会の目指していく方向を示唆していると思いながらも、同時に、安直に用いることには用心しなければいけないと思っているのです。第二次世界大戦の前、日本はアジア進出の野望を正当化した「前科」があります。「地球市民社会」への安易な思考は、一つ間違うと、自らの価値観や世界観を他に強要する危険をもたらすのです。「市民」とは、一人一人が「個」を確立し、しかも他の意見や価値観にも謙虚に耳を傾け、自らを相対化する力量を持った人のことを言うのです。耳障りのよい「地球市民社会」という言葉、実は、自らの「意識改革を迫る」大変厳しい言葉であることを忘れてはなりません。 (本書334頁より) ──歴史を作り、時代を切り拓いていく担い手というのは、いつも、「ヒラメ」のようにヘドロと一緒に汚れながら這いつくばって生きている人なのです。ところが、そのような草の根の人たちの一人一人は残念ながら力がないのです。その人たちにどういうふうに活力を与え、歴史の主人公になるように呼び起こしていくか、そういう役目を担っている人たちが実はボランティアなのではないかということです。 (本書228頁より) ──お寺をどうするとか、仏教をどうするかということはどっちだっていいのです。永遠に続くものはこの世には一つもないというのが、お釈迦さんの教えなのです。とすると、仏教も世の中に役立たない、存在意義を失っているとするならば、無常の流れのなかで消えていくのはきわめて当然でしょう。大事なのは、宗教者の一人一人が時代の苦悩というものを、自分の課題としてどう受け止めるのか。それが問われているのだと思いますね。 (本書235頁より) |