| 【本書の内容】 |
美しき蓮の花よりも、その花を咲かせる泥になりたい── 自他の救済を願う<菩薩>の精神を 現代のNGO活動として表現した僧侶、有馬実成。 自ら泥となり、先陣を切り、人々と生きた渾身の生涯。 ![]() 文化人類学者・上田紀行氏の著書『がんばれ仏教』(2005年、NHK出版刊)でも紹介されている有馬実成師(1936─2000)は、1979年からインドシナ難民支援にたずさわり、国 際ボランティアNGOの先駆けとして活躍。また、人と共にあり、社会的弱者によりそう仏教者でありたいと、国内災害支援、在日朝鮮・韓国人の遺骨返還運動、開かれたお寺の復興のための宗門やお寺を基盤とした文化活動などにも取り組みました。 一般的にお寺というと明治以降に定着した「葬式=仏教」というイメージが強いですが、本来お寺は地域コミュニケーションを中心であり、学問、福祉、芸術の場でありました。そういった点で、有馬師の活動の軌跡は、もともとの僧侶の役割を問うたものであり、いま葬式仏教の需要が減り、お寺が改革を迫られているなか、現代の仏教界の今後を考える上でもまさに参考にすべき事例です。 本書は、有馬師の人生をたどりながら、現代社会の問題、現代仏教論、仏教と福祉、ボランティアのあり方、NGOのあり方、災害時のボランティア活動などのテーマに触れるノンフィクションとなっています。また、これからの仏教、いまなぜ仏教が求められるかについても考えさせられます。 【有馬実成 略年譜】 1936年 3月7日、山口県徳山市(現・周南市)に生まれる 1958年 3月、駒澤大学卒業、原江寺住職に 1972年 市民文化ボランティア団体「禅を文化をきく会」スタート、事務長に就任 1975年 「在日朝鮮人・韓国人被災者を考える会」を組織し、遺骨返還問題着手。 曹洞宗青年会結成。 1976年 曹洞宗青年会「オリエント茶会」開催 1979年 「曹洞宗東南アジア難民救済会議(JSRC)」企画実行委員長に就任 1980年 タイ事務所を開設。移動図書館活動で難民キャンプを巡回 1981年 JSRCを母胎に「曹洞宗ボランティア会(SVA)」を結成。事務局長に就任 1984年 「正力松太郎賞」を受賞 1987年 「NGO活動推進センター(JANIC)」創立、副理事に就任 1988年 「外務大臣賞」を受賞 1994年 「毎日国際交流賞」受賞 1995年 阪神淡路大震災支援。有馬緊急入院し胃の半分を切除 1997年 朝鮮民主主義人民共和国へ緊急食糧支援 1999年 「曹洞宗国際ボランティア会」を 「社団法人シャンティ国際ボランティア会(SVA)」に改組、専務理事に就任。 2000年 9月18日遷化、享年65歳(満64歳) |
| 【著者略歴】 |
| 大菅 俊幸(おおすが・としゆき) 1950年、宮城県生まれ。駒澤大学大学院修士課程仏教学専攻修了。 高校教員、出版社勤務を経て、有馬実成師に共鳴しNGOの世界へ。現在、社団法人シャンティ国際ボランティア会スタッフ。編著に『ピーマイ・ラオ──ラオスの心を訪ねて』『タイ・やきものロードをゆく』『スバエクの物語──カンボジアの影絵芝居』『ラオス・古都紀行』『南ラオス・山河紀行』(いずれも現代企画室)などがある。有馬実成師の遺稿集『地球寂静』(アカデミア出版会)の編集も担当した。 |