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 お通夜・葬儀・告別式の概要
東京・品川寺住職  仲田 順和(なかだ・じゅんな)
(大法輪閣刊『大法輪選書 仏教葬儀の常識と問題』より)
1. はじめに
2. お通夜・葬儀の準備
3. お通夜-静寂なる故人との対話-
4. お通夜の準備と進め方
5. お通夜の仏前作法
6. 戒名について
7. 葬儀・告別式-遺訓を体し、永遠の別れ-
8. 葬儀の準備と進め方


 1.はじめに
 葬儀は、故人への惜別と、その冥福を祈る重要な儀式で、哀惜のうちにも心をこめ丁重な弔いを行うのが遺された者のつとめであり、同時に故人に贈る最後のはなむけでもあろう。
 わが国においては、人の死に関し、とくにその弔い方法については長い間につちかわれた社会の慣習がある。これをあながち風俗習慣として無視するわけにはいかない。できうる範囲内で、この社会の慣習に従って、それを、一つ一つふみ、故人に心をよせながら弔い送るべきであろう。それは、遺された者の心の整理につながるのである。
 ただ心しなくてはならないことは、他の儀式と異なり、中心になる人は、すでにこの世にいないということである。遺族を中心に故人の生涯を尊重し、良識に従って、礼を失しないように心がけることが大切である。それには、それなりの常識と作法が要求される。

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 2.お通夜・葬儀の準備
 遺族は、看病の疲れや、深い悲しみのために気が倒転しているし、せめて故人のそばにいて故人を見守りたいと思うし、弔問客の応待をしなければならず、葬儀のこまかいことまで手が出ない。そこで、世話役を依頼するのが普通である。世話役の人々がきまったならば、葬儀のことは一切まかせ、家族(遺族)は、直接口出ししないで、すべて世話役責任者を通してことを運ぶようにする。
 喪主は、世話役責任者に、十分に自家の意とするところを伝え、意見を調整しておくことが大切である。そして、当座の出費にそなえある程度の現金を用意し、世話役責任者に渡す。ここで心しなくてはいけないことは、喪主は遺族の代表者で、葬儀の主催者ではないことである。故人にかわって葬儀を受ける立場にあり、いわばおくやみを受ける側の代表者である。

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 3.お通夜 -静寂なる故人との対話-
 遺族を中心に親類・知人・友人・近隣の人々が集い、故人の生涯に思いをよせながら、冥福を祈り、追憶にふける一夜の集いがお通夜である。昔は、遺体を守る意味があり、夜になって野獣などの襲ってこないように付き添い夜を明かしたといわれている。今日では半通夜といって、午後7時頃から10時頃までに営まれるのが普通である。

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 4.お通夜の準備と進め方
 お通夜の準傭に際して間題になるのは、弔問者の人数である。普通は、お通夜の通知は親しい知己にかぎり、僧侶の読経時間を知らせるくらいだが、聞き伝えて来る弔問者があるから、まず人数の見当をつけよう。それには、故人の関係者を親族・知人・交友等といくつかのブロックにわけて見当をつけ、それから準備にかかる。家の内外を整えながら、自分が弔問者になり、門口から入り帰るまでの状態を一つ一つチェックしながら準備を進める。チェックの終わったところでもう一度葬儀社および各係の人に指示しよう。
 式は、僧侶の読経ではじまり、焼香、法話の順序で行われる。僧侶の退席をもって式が終わり、挨拶のあとお通夜ぶるまいがある。(第1図参照)

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■図1 お通夜の進め方の例
時間 行事 世話役責任者 遺族 受付係 台所係
17:00 集合 各係ごとに打合せを行い、準備にかかる
18:00 点検  総点検を行う 身じたくをする。服装は地味な物を着し、十分に喪の気持の表わせたものがよい 記帳簿・香典帳・筆記用具・メモ等を用意する 遺族・手伝の人々の夕食終了を確認する
僧侶との打合せを行う
18:30 配置 遺族・参列者を席に案内する 祭壇に向って右側に喪主から親等順に、左側に委員長、友人等が着座、参列者に着順に座す 着順に受付をはじめる 各室の整理を行い、お通夜ぶるまいの配膳等行う
親族、参列者着座  
19:00 僧侶着座 僧侶を祭壇前に案内 開式後の香典・供花・弔電はまとめておき、式後霊前に供える
読経  
焼香
(読経)
喪主・遺族・委員長・参列者の順に焼香をする。場所の都合で焼香を回してもよい 焼香がすむと退座する人もいるので、お通夜ぶるまいをする
法話にしたしみ、故人の徳を讃えたい
20:00 退座 僧侶の退座をまち、参列者にあいさつ、お通夜ぶるまいを告げる 退席しないで霊前に座し静かに通夜をつづける。接客は世話役にまかせる 帰る弔問客に立礼をする
お通夜
ぶるまい
あまり派手にならず、故人をしのぶにふさわしいように心がける。僧侶は別席をもうけてよい   無理にすすめず、手落のないようにする
21:00 集合 弔問客の帰るキッカケを作ることが大切。受付より事務を引受ける 手伝の人々にあいさつをする 記帳・香典帳を整理して世話役責任者にわたす 手伝の人々にお通夜ぶるまいをする。皆同席する
解散 あとかたずけをして解散

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 5.お通夜の仏前作法
 弔問者は先に来ている弔問者に挨拶、僧侶に一礼した後で静かに仏前に進み、設けの座より一膝(ひとひざ)手前まで進み、仏前に一礼、両手をついて一膝進み、設けの座につき線香一本を立て、終わって合掌礼拝両手をつき一膝さがり、僧侶、遺族に一礼ずつして元の座までもどるようにする。もし焼香が回ってくるようなときには、焼香台を両手で受け、前に置くか、左手で持つかして一回焼香をし(告別式の項参照)、焼香台を両手で持ちいただく形をなして次にまわすようにしよう。
 お通夜の服装については、礼服や喪服の必要はない。けばけばしい服装をしなげれば良いであろう。

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 6.戒名について
 宗派によって戒名とか法名などとその呼び方はまちまちである。浄土真宗では「法名」、日蓮宗は「法号」、天台、真言その他の宗派は「戒名」と呼んでいる。こうした戒名は、信仰の篤い人は、授戒して寺から授かっているが、一般的にはお通夜のとき、授かる。

院殿号 ○○院殿、○○○○大居士(女性ならば大姉)とよばれるものは最上位の名称で大名、領主などにかぎられていた。
院号 ○○院○○○○居士(女性は大姉)は奉行とか役付の武家に授けられたものである。
居士・信士(大姉・信女) ○○○○居士(大姉)とか○○○○信士(信女)は一般庶民に授けられた名称である。
童子(童女) 子どもに授けられる戒名で、○○○○童子(童女)となる。孩子(孩女)赤ちゃんに授けられるもので○○孩子(孩女)となる。
 これらは、今日では、社会に貢献した人、寺に対して寄与した功績等によって、その人の生涯にふさわしい辞句を用いて授けられている。ただ日蓮宗の法号には、男子は「日」、女子は「妙」の一字がおくられ、浄土真宗の法名には男子に「釈」、女子には「釈尼」を用いている。

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 7.葬儀・告別式 -遺訓を体し、永遠の別れ-
 今日では、葬儀・告別式が同時に行われることが多いため、葬儀と告別式は同じ意味に思われがちだが、本来は別個のもので、それぞれの意義をもっている。葬儀は、遺族・近親者・特別縁故者が、僧侶とともに、故人に心をよせながら、その生涯より学ぶべきことをいただき今日ある自分に思いをよせ、今後、新しい仏さまとして、うやまいつかえることを祈念する儀式である。告別式は、一般の知己が故人との別れを告げる儀式である。自宅で営まれる葬儀・告別式は区別なく一体にして行われるのが現状であるので、ここでは、以下、両意を含め葬儀とよぶことにする。

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 8.葬儀の準備と進め方
 お通夜に引き続き世話役の人々、葬儀社の係員によって万端の準備が行われるが、一つ一つのチェックは必要である。手伝いの人が大勢になる。自ら手伝いを申し出る人もいるし、てんでんバラバラになるおそれがあり、これが大きなミスにつながるので各人の役割を確認し、責任をもって分担してもらう。お通夜とちがうことは、世話役責任者を中心に世話人は全体の運営進行を担当し、実務については葬儀社が受けもつことである。
 葬儀には会葬者も多く混雑が予想されるので、お焼香は立礼にするようにし、はきものを脱がないですむように準備しよう。時刻は正確に守ろう。予定時間内におさめるように僧侶と詳しく打ち合わせ、特に出棺時刻を再確認しておこう。
 葬儀は、遺族・近親者着席、僧侶の入場着座、開式の辞で始まり、読経・弔辞・弔電披露・焼香(読経)と続き、僧侶の退場、閉式の辞で終わる。引き続いて出棺の準備が行われる。
 世話役責任者として心がけておきたいことは、弔辞・弔電の披露がない葬儀のとき、せめて開式の辞のなかで故人の生涯のひととなりを披露するようにしたいものである。
 また、お通夜、葬儀を通して、お手伝いの人を含めて、皆がいっしょに、故人に心をよせるときがない。そこで出棺の際、葬儀委員長・親族代表の挨拶の後、枢(霊枢車)に向かい皆で一分間の黙祷をするように計るべきである。黙祷の後、おともをする人は乗車し、見送る方は、その場で霊枢車を見送る。(第2図参照)


■図2 葬儀の進め方の例
時間 行事 世話役責任者 進行係 受付 接待(台所)
11:00 集合 各係ごとに細目を打合せ、準備に入る
12:00 配置 総点検 弔電の整理 記帳・香典帳・筆記用具・メモ等を用意し受付をはじめる 昼食を終了遺族親族等に茶菓を出す
点検 弔辞奉読者確認
12:30   僧侶と最終打合せ 弔辞の確認 弔電は進行係へ 僧侶に茶菓を出す
12:45 一同着席 遺族・参列者を席に着かせる 各部屋の盗難に注意する
12:55 僧侶着座   僧侶を式場へ案内
13:00 開式の辞 「ただいまより○○の葬儀をとり行います」
  読経 (導師の諷誦文奉読)
13:10 弔辞
弔電
弔辞のない時は、開式の辞に故人の略歴を入れるのも一考
13:30 焼香
(読経)
喪主・遺族・委員長・参列者・世話人と順次焼香(参列者の焼香は、出来るだけ弔辞のすむまで待つと間延びがない)
14:00 僧侶退堂 閉式の辞 僧侶を控室に案内 焼香のすんだ会葬者に立礼を行う。霊枢車、ハイヤーの確認 僧侶にお茶を出す
お別れ 近親者で最後の別れをする  
乗棺 近親男子で棺を霊枢車に乗せる
あいさつ 委員長・親族代表のあいさつ
黙祷 出棺前の一刻、全員が黙祷を捧げ、棺を送る
14:15 出棺 黙祷をすませ、一同、霊柩車を見送る
集合 各係ごとにあとかたずけをし、火葬場よりの帰りを待つ 精進おとしの準備

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