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禅談〔改訂新版〕

禅談〔改訂新版〕

昭和の名僧、澤木興道老師。軽妙な語りに深遠なる仏教が解き明かされる。この書と出会って人生を決めた人は数知れない。

著者 澤木 興道
ジャンル 書籍 > 
出版年月日 1997/01/21
ISBN 9784804640211
判型・ページ数 B6・316ページ
定価 本体2,400円+税
在庫 在庫あり
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目次

澤木興道老師と『禅談』・・・鈴木格禅

最高の幸福
辻占根性/御幣かつぎ/生活の大転換/道心と智慧/久遠の命/持場を守る
おれの鼻で息をする/絶対のめでたさ/五武器と化物

文化人の宗教
どちらが偉い/真の無念無想/文化人の正体/創造の生活

願の話
行を運ぶ願/成就した悪願/修行も計画的に/願のための職/我見の失策
願に生きる/乞食月僊

和の話
大和の語源/大化の改新/鏡・玉・剣/調和の生活/戒和敬/見和敬/利和敬
身和敬/口和敬/意和敬/弾指一声

武禅一味
錯覚の人生/スラリ、スラリの奥義/隙間だらけの生活/柔術家と仲仕の試合
何が本当の宝か/擾々忽々水裏月/丘宗潭師と大薩和尚

小欲と知足
八つの仏則/欲の追求/天国行きの修行/不平の本/乞食桃水/汝自身を求めよ

回光返照
自分を叱る/大好きで大嫌い/脚下を照らせ/透明な雰囲気/一切を自己に見る
天地一枚の笛の音

食堂の宗教
飯は何のために食う/病は口より入る/拝んでいただく/隙のない生活/平静を失うな
娯楽に食べる/自分を見失う

お袈裟の話
お袈裟の起源/法衣一如/威儀即仏法/お袈裟の信仰/うらきぬの御書/お袈裟の因縁
お袈裟の功徳

触処生涯随分足
最高の生活態度/心の歪み/お前はなんじゃ/倭子戯を見る/最後の満足/本当の安心
安心と心配/一人前になりきる/群を抜けて益なし/消えた提灯/宝徹禅師と扇

坐禅の本領
禅の三病/自己に親しむ/坐禅わずかに三十年/これが信仰だ/回光返照の宗教
法然上人と天草四郎/撃ち方止め!/一切経は坐禅の論文/長者の窮子/一足飛びに仏様

修証一如
ぶっ通しの修行/放てば手に充てり/贋物を追うな/仏になる法/ただ本を得よ
一方究尽/汚れなき悟り/日々夜々の修行

参禅の秘訣
仏法の正門/正味は覚触/説法は迎え水/ごまかされるな/緊張の妙味/狙いの定め方
天地一枚の坐禅/正法眼蔵坐禅儀/坐禅を好むべし

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内容説明

禅の名著、戦前からのロングセラーを誰にも読みやすく全面改訂。老師独特の軽妙な語りに深遠なる仏教が説き明かされる。この書と出会って人生を決めた人は数多い。

《まえがき》より 

澤木興道老師と『禅談』 前駒澤大学教授 鈴木 格禅 

「わりゃ、そこで何ばしちょっとか」

と、たった四本柱があるだけの、掘っ立て小屋のような家の奥にむかって、興道は怒鳴った。

 「藤」の父親が死んだというので、駆けつけてみると、「藤」は素ッ裸で、冷めたくなった父親の横に、向こうをむいて寝ている。

遺骸は籾殻の上に敷いた筵に寝かせ、ボロボロの着物が逆さにかけてある。この親と子は村一番の貧乏者で、一枚の着物を共同で使っていたのだ。それを父親にかけたから、「藤」は裸でいるしかない。

それを見た興道は、自分の着物を脱いで「藤」に着せ、寺にとって返すと米を三升ほど持ち出し、わずかしかない自分の貯えと有り金の全部をはたいて、味噌や豆腐等を買いそろえ、御飯を焚き味噌汁を作って近所の人に振舞ったあと、通夜と葬式を営んで丁重に故人を弔った。興道も「藤」に劣らず貧しかったが、そうせずにはおれない「おとこ気」と「切なさ」の紅い血が、興道の体の中に燃えていたのだ。興道十九歳の時である。そして、興道のこの気質は、終生変わることはなかった。

三重県津市に生まれ、幼いとき相ついで両親を失った興道は、幼名を多田才吉といったが、一家離散のあと、遠縁にあたる澤木家の養子となった。

 幼年から人世の辛酸をなめた才吉は、清らかな人間の生き方があることを知り、「道」を求めて家出した。二度目のとき、五十余里の山河を歩きつづけて、曹洞宗の大本山・越前の永平寺に辿りついた。それが縁になって才吉は、九州天草の宗心寺の小僧となり、名を興道と改めた。これは、そのころの出来事である。

 日露戦争で重傷を負い、復員後は、浄土真宗高田派本山の学寮や、大和法隆寺の勧学院で仏教の基礎を学び、やがて、丘宗潭に出逢って道元禅師の仏法を究め、純粋にその道統を継いで一世の仏者となった。

 稀にみる苛酷な命運の中に人となった興道には、人間の痛みや悲しみを、その底まで味わい尽くした人のみが持つことができるであろうところの、独特の暖かさがあり、細やかな心遣いがあった。それに、底なしの明るさと巧まざる諧謔が縦横に織りなされて、深い人間的魅力と爽やかな人格の香気が、常にその周辺に漂うていた。しかし、修道には極めて峻烈で、いささかの妥協も甘えも許さなかった。その峻厳清冽な家風と暖かく明るい人格は、多くの人々に慈父のように慕われた。

 ある年の正月、大学の講師控室で、その歳はじめて和尚に逢った私は、「おめでとうございます」と挨拶した。すかさず、椅子からすっくと立ち上った和尚は、「何かめでたい。何かめでたい」と言いながら、一歩一歩、真正面から私に詰め寄って来られた。咄嵯の返答に窮しながら、一歩一歩、退かざるを得なかった私は、今も、その言葉を無上の公案として、深く胸裡に刻みつけている。

 それより何年か前の、ある歳の暮、年賀の詞に添えて、「道」に行き悩み、身の貧しさをかこった短い便りを差上げたことがある。折返すように届けられたハガキには、「貧富苦楽気にかけまいぞ、めでたかりけり」とのみ、万年筆で太と太とと書かれてあった。

 酸鼻といっていいほどの、波瀾と苦渋にみちた生の中で、人間興道が学びとった「めでたさ」とはいったい何であったのか。それが、今もって貧しい私の求道を、内側から支えつづけていてくれるのである。

 生の暗闇に行き悩み、魂の小径に喘ぎさ迷う多くの人々に対して興道は、僧俗の別なく、惜しみなく、無償の手を差しのべた。

 まことに興道は、無明山上に無垢の大明灯を掲げつくした祖席の英雄であった。

 昭和四十年十二月二十一日子刻の半ば、遂に、娶らず寺に住することもなかった「宿なし興道」はその孤高な八十有六年の「禅の生涯」を、洛北の一隅に閉じたのである。

 

 私が老師の名を知ったのは、日米開戦の翌年である。そのころ、私は病院の書生をしていた。病院は東京神田の九段下にあり、院長は美髭を貯えた侠気の人であった。院長の父親はクリスチャンで、看護婦学校を経営する偉丈夫であり、母親は小柄だが十二人の子をなした人である。

 難関で知られた学科試験と、極めて厳重な身体検査に合格し、勇躍到着したその身体検査で、思いがけなく手術を要する病を発見され、やむなく航空学校を一時退去せざるを得なかった文なしの一少年に、六度に及ぶ手術と入院を以って遇してくれたのは、侠魂の院長であり、その両親であった。

 無償の恩義に酬ゆるには、身を粉にして働くしかない。入校までの間、その病院の書生となって懸命に尽くした。一日、はしなくも頂戴した給料を、薬餌の払えぬ人々にかわり、内緒で支払ったことが露見して、院長の母親にひどく叱られた揚句、今日は何を買ってもよいと言いわたされ、わずかな自由時間を与えられた。

 九段下から淡路町までは、よく知られた古書の街である。勝手知った街並みや小路の書店を覗きこみながら、適当な書物にめぐりあえず、殆んどあきらめかけていた私が、最後に手にした本が、澤木興道老師の提唱を筆録した『禅談』であった。

心のどこかで、たえず自殺を考えているような暗い少年であった私の魂に、この書は鮮烈な光明をもたらしてくれた。勿体ぶった説教臭や、持ってまわった宗教者に特有な翳りがない。その真率な語り口が、生きることに孤立して、硬直せざるを得なかった少年の心の窓を、大きく押し開いてくれたのだ。

 足元に宵闇の迫った店頭で立読みしたとき、この著者は人間の悲しみのわかる人であり、まことに人の痛みを知った人だと思った。作りもののない透明な爽やかさが、はらわたの底までぢかに響いて来るようであった。

 細木原青起画伯の挿絵がよかったし、老師の似顔絵が、とりわけ印象に深くのこった。

 昭和十三年二月の第一刷は、四月にはもう三版を重ね、平成七年には、復刊第十七刷目が世に送り出されたという。普通名詞であるはずの「禅談」は、澤木興道老師の『禅談』となり、時代をこえて今も生きている。

 禅の本領や「まことに生きる」ことの根本を、私はこの書から学んだ。復員後出家し、初めて老師の実際に接したのは、それから五年目の冬のことであった。

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